部位不担保による入院給付金等不払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和7年4~6月の裁定概要集(PDF)に、入院給付金等の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 不担保部位に該当することを理由に、入院給付金が支払われなかったことを不服として、入院給付金等の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和6年6月に急性虫垂炎・腹膜炎により入院・手術したため、令和5年11月に契約した医療保険にもとづき、入院給付金等を請求したところ、盲腸が本契約の不担保部位である「小腸及び大腸」に含まれることを理由に支払われなかった。しかし、以下の理由により、入院給付金等を支払ってほしい。

(1)本契約の約款では、特別条件に関して「小腸および大腸」と「盲腸(虫様突起を含む)」が別項目として並列に記載されていることから、「盲腸・虫垂」は「小腸および大腸」には含まれない趣旨であると解するべきである。

(2)契約時に、募集人および保険会社のコールセンターから特別条件についての説明を受けたが、小腸・大腸について支払対象外になると説明されただけで、盲腸・虫垂も支払対象外であるとの説明はなかった。保険会社の給付金請求時の説明書面には、「小腸および大腸」に「盲腸・虫垂」が含まれる胸が記載されているが、募集時には説明されていない。

この事案は和解が成立しています。

申立人の給付金申請に対して、部位不担保による支払い不可とした保険会社の対応は正しかったわけですが、約款記載事項に対する誤認識が生じたことへの指摘がなされています。

こうしたケースでは約款記載事項だけではなく、保険会社からの説明書面を確認し、慎重に丁寧に対応する必要がありますね。


【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和7年4~6月裁定概要集P35~36より転載)。

[事案2024-184]入院給付金等支払請求
・令和7年6月25日 和解成立

<申立人の主張>
 令和6年6月に急性虫垂炎・腹膜炎により入院・手術したため、令和5年11月に契約した医療保険にもとづき、入院給付金等を請求したところ、盲腸が本契約の不担保部位である「小腸及び大腸」に含まれることを理由に支払われなかった。しかし、以下の理由により、入院給付金等を支払ってほしい。

(1)本契約の約款では、特別条件に関して「小腸および大腸」と「盲腸(虫様突起を含む)」が別項目として並列に記載されていることから、「盲腸・虫垂」は「小腸および大腸」には含まれない趣旨であると解するべきである。

(2)契約時に、募集人および保険会社のコールセンターから特別条件についての説明を受けたが、小腸・大腸について支払対象外になると説明されただけで、盲腸・虫垂も支払対象外であるとの説明はなかった。保険会社の給付金請求時の説明書面には、「小腸および大腸」に「盲腸・虫垂」が含まれる胸が記載されているが、募集時には説明されていない。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)「盲腸・虫垂」が大腸の一部であることは医学的に明らかであり、約款別表の「小腸および大腸」には「盲腸・虫垂」が含まれる。

(2)約款別表において、「小腸および大腸」と「盲腸(虫状突起を含む)」が別項目となっているのは、「盲腸・虫垂」のみを部位不担保にすれば引き受けができる場合に適用するためである。

(3)募集時に、申立人・募集人とも「盲腸・虫垂」が特別条件に該当するか否かという点については言及していない。また、募集人が自発的に「盲腸・虫垂」が支払対象外である点について説明しなかったことに問題はない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本件の経緯等を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意を得られたので、手続を終了した。

(1)本契約の約款別表においては、「小腸および大腸」「盲腸(虫状突起を含みます)。」が、それぞれ別の項目として記載されている。約款の解釈としては「小腸および大腸」に盲腸・虫垂が含まれるものと解されるが、別項目として並列に記載されて、「小腸および大腸」に「盲腸・虫垂を含む」旨の記載もないため、一見して、「小腸および大腸」には「盲腸・虫垂」が含まれないという誤解が生じる可能性があることは否定できない。 

(2)特に本件では、申立人が令和4年9月に大腸ポリープで内視鏡手術を受けていることを告知しているため、申立人としても「大腸」と名の付くものが不担保とされることは納得・理解しているところであるが、盲腸・虫垂といったものまで不担保の対象となると認識できなかったとしてもやむを得ない。

(3)募集人も事情聴取において、給付金請求時、約款の規定を見て盲腸・虫垂も支払われるのではないかと思っており、支払事由とならないことについて「ちょっとおかしいですね」と話した旨を述べており、募集人ですら大腸の中に「盲腸・虫垂」が含まれると認識できていなかった。

(4)募集人は事情聴取において、申立人に対し、契約前に約款別表を見せて、不担保となる部位について説明をしている旨を述べているが、大腸に「盲腸・虫垂」が含まれるのかについては説明していない。契約直後にも、申立人はコールセンターに対して、特別条件についてどれが適用されるか分からないと質問しているが、コールセンターも、大腸に「盲腸・虫垂」が含まれるか否かについては説明しておらず、申立人は、契約前後の時点で特別条件の対象について関心を示しており、「小腸および大腸」は支払い対象とならないが、「盲腸・虫垂」は対象となると理解した可能性があると考えられる。

(5)保険会社の給付金請求時の説明書面には、「小腸および大腸」に「※小腸:十二指腸・空腸・回腸 大腸:盲腸・虫垂・結腸・直腸」との補足説明がなされており、約款別表の対象範囲について疑問を抱く人が少なからず存在していたものと推認されるが、この点につき補足説明をするのであれば、募集時にも誤解が生じないように何らかの補足をする運用が望ましかったと言え、もしそのような運用がなされていれば、本紛争は生じていなかったものと考えられる。


以上です。

DSC06721.JPG
↑菊の花にやってきたキタテハ秋型の♀(11月撮影)。

↓12月28日0:30現在で6位…ちょっと下がってしまいました。皆様のワンクリックをお願いします。
人気ブログランキング
人気ブログランキング

↓12月28日0:00現在で圏外…大きく下がってしまいました。皆様のワンクリックをお願いします。
にほんブログ村 その他生活ブログ 保険へ
にほんブログ村

この記事へのコメント