入院一時金の支払いを巡る裁定事案(和解済み)。

生命保険協会が取りまとめた、令和6年10~12月の裁定概要集(PDF)に、入院一時金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 保険会社の誤説明を理由に、入院一時金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年12月から令和5年10月までの間に、新型コロナウイルス感染症、右下顎蜂窩織炎、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫にて4回入院した。その後、令和5年12月にリンパ腫により入院(入院①)したため、令和4年9月に契約した医療保険に基づき入院①の給付金を請求したところ、疾病入院給付金の支払は保留とし、抗がん剤治療給付金のみが支払われた。さらに、令和6年1月にびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫により入院(入院②)したため、本契約に基づき入院②の給付金を請求したところ疾病入院給付金は支払われたが、疾病入院一時金は支払われなかった。しかし、以下の理由により、疾病入院一時金を支払ってほしい。

(1)最後の入院の退院日の翌日から90日を経過しないと別の入院という扱いにならず、疾病入院一時金が支払われない仕組みであることは認識していた。

(2)令和5年11月に保険会社に電話で照会したところ、同年12月に入院したとしても、疾病入院給付金の請求をしなければ入院扱いとならず、その後、翌年1月以降に入院をすれば、その入院については疾病入院一時金が支払われる旨の誤った説明を受けた。

この事案は和解が成立しています。

今回の事案は、給付金支払における担当部職員の説明が、申立人の誤解を招くものだったことが原因なので、契約締結時に防ぐことは不可能ですね。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和6年10~12月裁定概要集・P28~29より転載)。

[事案2024-8]入院一時金支払請求
・令和6年12月19日 和解成立

<事案の概要>
 保険会社の誤説明を理由に、入院一時金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 令和4年12月から令和5年10月までの間に、新型コロナウイルス感染症、右下顎蜂窩織炎、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫にて4回入院した。その後、令和5年12月にリンパ腫により入院(入院①)したため、令和4年9月に契約した医療保険に基づき入院①の給付金を請求したところ、疾病入院給付金の支払は保留とし、抗がん剤治療給付金のみが支払われた。さらに、令和6年1月にびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫により入院(入院②)したため、本契約に基づき入院②の給付金を請求したところ疾病入院給付金は支払われたが、疾病入院一時金は支払われなかった。しかし、以下の理由により、疾病入院一時金を支払ってほしい。

(1)最後の入院の退院日の翌日から90日を経過しないと別の入院という扱いにならず、疾病入院一時金が支払われない仕組みであることは認識していた。

(2)令和5年11月に保険会社に電話で照会したところ、同年12月に入院したとしても、疾病入院給付金の請求をしなければ入院扱いとならず、その後、翌年1月以降に入院をすれば、その入院については疾病入院一時金が支払われる旨の誤った説明を受けた。

<保険会社の主張>
 入院②は、入院①の退院日の翌日より90日が経過していないため、新たな入院とはみなされないことから、申立人の請求に応じることはできない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本件に関する経緯等を把握するため、申立人および保険金部職員に対して事情聴取を行った。

2.裁定結果
 上記手続きの結果、申立人の請求は認められないが、以下等の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。

(1)保険会社から申立人に交付された書面には、令和5年11月に申立人から保険金部に対して照会を受けた際、「入院①を予定しているが、入院給付金は支払われるのか」との質問に対して、「令和5年10月の退院日から90日以内なので支払われない」と回答し、続けて、「入院①を請求しなければ、次に予定している入院②の入院一時金は支払われるのか」との質問に対して、「ご提出いただいた書類上で、令和5年10月より90日以内の入院が確認できない場合は、令和6年1月以降の入院の入院一時金が支払となる可能性がある」と説明した旨が記載されている。しかしながら、この回答は、申立人が入院をしたとしても、入院給付金の請求さえしなければ、請求した最後の入院の退院日の翌日から90日を経過した入院については、入院一時金が支払われる可能性があるという誤解を招く内容である。

(2)本契約の約款において、「給付金の支払事由が生じたときは、(略)、遅滞なく当社に通知してください」と定められており、保険金部職員は事情聴取において、支払事由が発生した場合には、約款にもとづき、速やかに通知することを求めている旨を陳述している。したがって保険会社は、申立人に対して、支払事由が生じた場合には、速やかに通知することを求めている旨を伝えるとともに、事実として入院がある場合でも、入院給付金の請求さえしなければよいかのような誤解を招きうる伝え方は避けるべきであった。


以上です。


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↑庭先の馬酔木にやってきた成虫越冬明けのアカタテハ(3月撮影)。

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