入院一時金の支払いをめぐる裁定事案（重大事由による契約解除）。
生命保険協会がとりまとめた令和6年4～6月の裁定概要集（PDF）に、入院一時金の支払いを巡る裁定事案がありました。
事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。
＜事案の概要＞
重大事由により契約を解除され、入院一時金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。
＜申立人の主張＞
令和3年4月及び令和4年1月に睡眠時無呼吸症候群により入院し、令和3年7月及び令和4年4月に新型コロナウイルス感染症により在宅療養したため、令和3年2月に契約した総合医療保険にもとづき入院一時金を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され、入院一時金が支払われなかった。しかし、入院一時金保険の重複加入が問題なのであれば、加入時の契約内容照会制度により保険会社は重複加入を知っていたはずであり、解除は不当であること等から、入院一時金を支払ってほしい。
この事案は裁定打ち切りとなっています。
＜保険会社の主張＞によると、申立人は本件契約を締結する前に6社の入院一時金保険に短期間で集中加入しており、一時金の総額は140万円、本件契約を含めると190万円に達しており、申立人配偶者も同時期に同様の集中加入していると指摘されています。
また申立人の加入合計額は男性の平均加入額の約9倍で、収入額と比較しても不相当に過大であるとも指摘されています。
今回の事案は入院一時金という保障の本質から著しく逸脱した加入状況であり、重大事由による契約解除という保険会社の判断は当然であると管理人は考えます。
なお、今年4月から契約登録制度・契約内容照会制度の登録事項が改定されており、入院一時金の加入状況も契約登録制度・契約内照会制度の登録事項になっています。
【裁定事案の内容】
以下、裁定事案の内容です（令和6年4～6月裁定概要集・P36～37より転載）。
［事案2023-155］入院一時金支払請求
・令和6年5月9日 裁定打ち切り
＜事案の概要＞
重大事由により契約を解除され、入院一時金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。
＜申立人の主張＞
令和3年4月及び令和4年1月に睡眠時無呼吸症候群により入院し、令和3年7月及び令和4年4月に新型コロナウイルス感染症により在宅療養したため、令和3年2月に契約した総合医療保険にもとづき入院一時金を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され、入院一時金が支払われなかった。しかし、入院一時金保険の重複加入が問題なのであれば、加入時の契約内容照会制度により保険会社は重複加入を知っていたはずであり、解除は不当であること等から、入院一時金を支払ってほしい。
＜保険会社の主張＞
以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
（1）申立人は、本契約加入後2ヵ月の短期間で睡眠時無呼吸症候群の検査を希望して、申立人配偶者と一緒に医療機関を受診し、検査入院も配偶者と同時にした。
（2）申立人は、本契約加入前に6社の入院一時金保険に短期間で加入しており、一時金の総額は140万円、本契約を加えると190万円にのぼっていた。申立人配偶者も同時期に、同様の集中加入をしている。申立人の加入した一時金合計額は、男性の平均加入額の9倍近い金額であり、申立人の収入額と比較しても不相当に過大である。
（3）現在の契約内容照会制度では、他社における入院一時金保険の加入状況を参照することはできない。
＜裁定の概要＞
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約の経緯等を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。
2.裁定結果
上記手続の結果、以下の理由により、裁定手続を打ち切ることとした。
（1）重大事由契約解除が有効であるか否かを判断するためには、契約者の収入及び生活状況、申立人が支払う保険料の合計額、他契約の給付金の支払履歴及びその原因や支払われた給付金の妥当性、各特約の加入の状況・経緯・動機などを事情を総合的に勘案して判断しなければならない。
（2）これらの事情を明らかにするためには、第三者に対する文書送付嘱託または文書提出命令、契約者・被保険者およびその周囲の第三者への尋問等の手続きが必要となる。
（3）しかしながら、裁定審査会は裁判外紛争処理機関であり、このような手続を持たないことから、裁定審査会の手続において上記の点について明らかにすることは困難であると言わざるを得ない。
以上です。
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事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。
＜事案の概要＞
重大事由により契約を解除され、入院一時金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。
＜申立人の主張＞
令和3年4月及び令和4年1月に睡眠時無呼吸症候群により入院し、令和3年7月及び令和4年4月に新型コロナウイルス感染症により在宅療養したため、令和3年2月に契約した総合医療保険にもとづき入院一時金を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され、入院一時金が支払われなかった。しかし、入院一時金保険の重複加入が問題なのであれば、加入時の契約内容照会制度により保険会社は重複加入を知っていたはずであり、解除は不当であること等から、入院一時金を支払ってほしい。
この事案は裁定打ち切りとなっています。
＜保険会社の主張＞によると、申立人は本件契約を締結する前に6社の入院一時金保険に短期間で集中加入しており、一時金の総額は140万円、本件契約を含めると190万円に達しており、申立人配偶者も同時期に同様の集中加入していると指摘されています。
また申立人の加入合計額は男性の平均加入額の約9倍で、収入額と比較しても不相当に過大であるとも指摘されています。
今回の事案は入院一時金という保障の本質から著しく逸脱した加入状況であり、重大事由による契約解除という保険会社の判断は当然であると管理人は考えます。
なお、今年4月から契約登録制度・契約内容照会制度の登録事項が改定されており、入院一時金の加入状況も契約登録制度・契約内照会制度の登録事項になっています。
【裁定事案の内容】
以下、裁定事案の内容です（令和6年4～6月裁定概要集・P36～37より転載）。
［事案2023-155］入院一時金支払請求
・令和6年5月9日 裁定打ち切り
＜事案の概要＞
重大事由により契約を解除され、入院一時金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。
＜申立人の主張＞
令和3年4月及び令和4年1月に睡眠時無呼吸症候群により入院し、令和3年7月及び令和4年4月に新型コロナウイルス感染症により在宅療養したため、令和3年2月に契約した総合医療保険にもとづき入院一時金を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され、入院一時金が支払われなかった。しかし、入院一時金保険の重複加入が問題なのであれば、加入時の契約内容照会制度により保険会社は重複加入を知っていたはずであり、解除は不当であること等から、入院一時金を支払ってほしい。
＜保険会社の主張＞
以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
（1）申立人は、本契約加入後2ヵ月の短期間で睡眠時無呼吸症候群の検査を希望して、申立人配偶者と一緒に医療機関を受診し、検査入院も配偶者と同時にした。
（2）申立人は、本契約加入前に6社の入院一時金保険に短期間で加入しており、一時金の総額は140万円、本契約を加えると190万円にのぼっていた。申立人配偶者も同時期に、同様の集中加入をしている。申立人の加入した一時金合計額は、男性の平均加入額の9倍近い金額であり、申立人の収入額と比較しても不相当に過大である。
（3）現在の契約内容照会制度では、他社における入院一時金保険の加入状況を参照することはできない。
＜裁定の概要＞
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約の経緯等を確認するため、申立人および募集人に対して事情聴取を行った。
2.裁定結果
上記手続の結果、以下の理由により、裁定手続を打ち切ることとした。
（1）重大事由契約解除が有効であるか否かを判断するためには、契約者の収入及び生活状況、申立人が支払う保険料の合計額、他契約の給付金の支払履歴及びその原因や支払われた給付金の妥当性、各特約の加入の状況・経緯・動機などを事情を総合的に勘案して判断しなければならない。
（2）これらの事情を明らかにするためには、第三者に対する文書送付嘱託または文書提出命令、契約者・被保険者およびその周囲の第三者への尋問等の手続きが必要となる。
（3）しかしながら、裁定審査会は裁判外紛争処理機関であり、このような手続を持たないことから、裁定審査会の手続において上記の点について明らかにすることは困難であると言わざるを得ない。
以上です。
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