遺族厚生年金の改正案に対する誤解。SNSでは誤解による批判も―日経報道。

8月24日の日本経済新聞朝刊に、7月30日に厚生労働省社会保障審議会年金部会が公表した第17回社会保障審議会年金部会2024年7月30日・資料4「遺族年金制度等の見直しについて」(PDF)に対する誤解と、誤解によるSNSでの批判についての記事がありました。

記事によりますと、

< 厚労省は7月末の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で、30歳以上で夫を亡くした妻の受給期間も5年間とし、妻を亡くした夫は55歳未満でも5年受給できる案を示した。

 夫を亡くした妻が40歳から65歳未満まで一定条件で受給できる中高齢寡婦加算も新たに受給し始める人から段階的に減らし、将来は廃止する。審議会では多くの委員が賛同し、年末の年金制度改正法案の取りまとめに向けてこの方向で議論が進む公算が大きい。

 改正案の報道後、SNSなどを中心に「多くの女性が困窮する」といった批判や不安が広がったが、4つの誤解がある。制度改正に備えるためにも、まずは改正案を正確に把握したい。

 誤解の1つめは現在の高齢者も対象になるというもの。しかしすでに遺族年金をもらっている人や60歳以上で配偶者と死別した人は、これまで通り遺族厚生年金を生涯受給できる。

 2つめは子育て世帯の遺族厚生年金が全て5年間になるというもの。子育て中の配偶者の遺族厚生年金は5年になるが、子が18歳の年度末まで子に遺族厚生年金を支給する現在のルールが適用される。世帯ベースでは、子が18歳まで現状と変わらず受給できる。

 ただ子が18歳を過ぎれば、夫が亡くなった時期から5年後に遺族厚生年金は受け取れなくなる。原則として無期給付である現在より短縮されやすく、大学費用などが困らないように準備が大切だ。

 3つめは受給期間を5年とする措置をすぐに導入するというもの。この点は男女で異なる。まず妻が死亡した夫の場合。現在は妻の死亡時に夫は55歳以上でないと受給権がないが、改正の施行と同時に、55歳未満でも遺族厚生年金を受給できるようになる。

 夫を亡くした妻の場合は施行から20年程度かけて段階的に適用する。現在は夫の死亡時に30歳未満なら5年間の受給だが、この年齢を例えば施行時に40歳未満とし、その後もの段階的に上げていく。施行から20年程度の時点で、60歳未満の妻は5年の有期になる。

 …

 誤解の4つめは給付が厳しくなるだけの改革だということ。有期化で全体的には受給期間が短くなるため、3つの「配慮措置」も検討されている。>


とのことです。

マスコミはインパクト重視の見出しですから、こうしたことはメディア記事ではなく情報元を確認することがとても大事です。

今回の情報元は厚生労働省の社会保障審議会年金部会ですから、厚生労働省のHPで検索し、審議会の資料を確認すれば記事にある誤解とそれによる批判に振り回されることはないと思います。


【厚生労働省 第17回社会保障審議会 年金部会の見直し案】
記事の情報元である、第17回社会保障審議会年金部会資料4には遺族年金制度等の見直しについて以下のようにあります(資料4より抜粋・転載)。

◇20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金の見直し

【現行制度】

〇20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金は、主たる生計維持者を夫と捉え、夫と死別した妻が就労して生計を立てる事が困難であり、世帯の稼得能力が喪失した状態が将来にわたり続く事が見込まれるといった社会経済状況を背景に、妻に対して30歳未満の場合には有期給付、30歳以上の場合には期限に定めのない就寝の給付が行われている。

〇一方で、夫は就労して生計を立てることが可能であろうという考えの下、55歳未満の夫には遺族厚生年金の受給権が発生しない。加えて、受給権取得当時の年齢が40歳以上65歳未満である中高齢の寡婦のみを対象とする加算があるなど、制度上の男女差が存在している。

【見直しの意義】
〇女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変化や制度上の男女差を解消していく観点を踏まえ、20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を見直す。

※施行日前に受給権が発生している遺族厚生年金については、現行制度の仕組みを維持する。

【見直しの方向性】
〇20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を、配偶者の死亡といった生活状況の激変に際し、生活を再建することを目的とする5年間の有期給付と位置付け、年齢要件に係る男女差を解消することを検討する。

〇現在、妻が30歳未満に死別した場合に有期給付となっている遺族年金について、適切な配慮措置を講じたうえで、30歳以上へと対象年齢の引き上げを徐々に行うことにより、20代から50代に死別した子のない妻に対する遺族厚生年金の見直しを行う。引き上げの施行にあたっては、現に存在する男女の就労環境の違いを配慮するとともに、現行制度を前提に生活設計をしている配慮する観点から、相当程度の時間をかけて段階的に施行することとする。男性については、こうした女性の対象見直しと合わせて、給付対象となる年齢を拡大する。

〇なお、養育する子がいる世帯としてみた場合の遺族厚生年金、高齢期の夫婦の一方が死亡したことによって発生する遺族厚生年金については、現行制度の仕組みを維持する。

◇20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金における男女差解消と有期給付化拡大

【現行制度】

〇現行制度において、20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金の年齢要件に男女差が存在しており、妻に対しては年齢要件が設けられていない一方で、55歳未満の夫には受給権が発生しない。

〇他方で、養育する子のある配偶者には、母子家庭か父子家庭かにかかわらず、子が18歳到達年度末(一定の障害状態にある子の場合は20歳)まで、遺族基礎年金・遺族厚生年金が支給されており、世帯としてみれば養育する子がいる間の給付に男女差は存在しない。

【見直しの方向性】
〇時期改正において、20代から50代に死別した子のない妻に対する有期給付の対象年齢を現行制度における30歳未満から段階的に引き上げるとともに新たに60歳未満の夫を有期給付の支給対象とすることを検討する。なお、養育する子がいる世帯、高齢期の夫婦および既に受給権が発生している者への遺族厚生年金については、現行制度の仕組みを維持する。

〇20代から50代に死別した子のない妻に対する有期給付の対象年齢の引き上げにあたっては、現に存在する男女の就労環境の違いを考慮するとともに、現行制度を前提に生活設計している者に配慮する観点から、相当程度の時間をかけて段階的に施行することとする。

◇有期給付の拡大に伴う配慮措置
〇20代から50代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金については、配偶者の死亡といった生活状況の激変に際し、生活を再建することを目的とする5年間の有期給付と位置付け、年齢要件に係る男女差を解消するが、対象者を拡大していく中で現行制度の期限の定めのない遺族厚生年金と比べれば受給期間が短くなることから、以下の配慮措置を講ずることとする。

【見直しの方向性】
①現行制度の離婚分割を参考に、死亡者との婚姻期間中に厚生期間に係る標準報酬等を分割する死亡時分割(仮称)の創設を検討する。これにより、分割を受けた者の将来の老齢厚生年金額が増加する。

②現行制度における生計維持要件のうち収入要件の廃止を検討する。これにより、有期給付の遺族厚生年金の受給対象者が拡大する。

③現行制度の遺族厚生年金額(死亡した被保険者の老齢厚生年金の3/4に相当する額)よりも金額を充実させる有期給付加算(仮称)の創設を検討する。これにより、配偶者と死別直後の生活再建を支援する。

これらの配慮措置を講ずることにより、配偶者と死別直後の生活再建を支援するとともに、高齢期における生活保障への対応を行う。

◇男女差の解消に伴う中高齢寡婦加算及び寡婦年金の段階的廃止

【現行制度】

〇中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金の受給権取得当時40歳以上65歳未満である中高齢の寡婦がその後に就労する事が困難であることに着目して、受給権発生から65歳に達するまでの間に遺族厚生年金に加算されるものである。(令和6年度は年額612,000円)

〇国民年金の寡婦年金は、所定の要件を満たす夫の死亡に際して、残された妻が国民年金の被保険者期間が終了する60歳から、老齢基礎年金の受給開始年齢である65歳到達までの5年間を保障するつなぎの給付として創設されたものである。

【見直しの方向性】
〇中高齢寡婦加算及び国民年金の寡婦年金は、主たる家計の担い手が夫であり、夫と死別した妻がその後就労することが困難である社会経済状況を背景に設計されたもので、女性の就業の進展等を踏まえ、かつ、年金制度条の男女差を解消すべきという観点からも、将来に向かって段階的に廃止することを検討する。なお、廃止にあたっては、激変緩和の観点から十分な経過措置を設けることとする。

〇葬祭費用を勘案して金額を設定していた国民年金の死亡一時金について、足下の葬祭費用の状況を踏まえて見直しを検討する。

◇子に対する遺族基礎年金の支給停止規定の見直し

【現行制度】

〇遺族基礎年金は子を抱える配偶者や自ら生計を維持することができない子に対し、生活の安定を図ることを目的とする給付であるが、現行制度において子に対する遺族基礎年金は、遺族基礎年金の生計維持要件等に該当せず受給権を有さない父又は母と生計を同じくするときは支給停止されている。これは、生計を同じくする父又は母があるならば、子又は該当父又は母によって養育され、遺族基礎年金の支給の必要はないと考えられているからである。

【見直しの意義】
〇離婚の増加等の子を取り巻く家庭環境の変化を踏まえ、配偶者に遺族基礎年金の受給権が発生しない場合において子の生活の安定を図る遺族基礎年金の目的を達するため、子が置かれている状況によって遺族基礎年金の支給が停止される不均衡の解消を図る。

【見直しの方向性】
〇自らの選択によらない事情で子が置かれている状況によって遺族基礎年金が支給停止されることのないように、下記のケースのような生計を同じくする父又は母があることによる支給停止規定の見直しを検討する。なお、子に対する遺族厚生年金には、生計を同じくする父又は母があることによる支給停止規定は存在しない。

-遺族基礎年金の受給権を有さない父又は母と生計を同じくすることによる子の遺族基礎年金の支給停止の例-
・元配偶者に引き取られた場合:母と生計を同じくするため支給停止 ※離婚した妻には遺族基礎年金が発生しない

・遺族配偶者が再婚した場合:父母と生計を同じくするため支給停止 ※妻に遺族基礎年金は発生するが、再婚によって当該遺族基礎年金の受給権は失権する

・直系血族(または姻族)の養子になった場合:祖父母と生計を同じくするため支給停止 ※祖父母には遺族基礎年金は発生しない

・遺族配偶者が収入850万以上の場合:母と生計を同じくするため支給停止 ※妻は生計維持要件を満たさないことから、当該妻に遺族基礎年金は発生しない


※見直しを行う場合、新たに支給となる給付による国庫負担の増加に対応した財源が必要。

◇20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金の見直しの全体像

【見直しの方向性】

〇施行日から、新たに60歳未満の夫を有期給付の遺族厚生年金の対象に加えることを検討する。また、子のない妻の有期給付の対象年齢を施行日から40歳に引き上げ、その後、相当期間をかけて段階的に対象年齢を引き上げることを検討する。

〇施行日から、有期給付の遺族厚生年金を対象とする有期給付加算(仮称)を加算することを検討する。

〇中高齢寡婦加算は施行日以降、年度ごとに加算額を段階的に低減し、最終的に廃止することを検討する。その上で施行日以降に新規発生する中高齢寡婦加算は、新規発生する年度に応じた加算額とし、受け取り始めた時点の加算額は、受取終了まで変わらない。


以上です。

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↑卯木の花にやってきたイチモンジチョウ(5月撮影)。

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