外貨建一時払保険のプロダクトガバナンス態勢と販売・管理態勢に課題。金融庁のモニタリング結果。

4月3日、金融庁はHPにて、「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」(2023事務年度中間報告)を発表*しました。

*詳しくはこちらをどうぞ。
  • 4/3・報道発表資料 リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(2023事業年度中間報告)(PDF)

    【管理人の感想】
    上記報道資料は、

    ①外貨建一時払保険と仕組み預金のプロダクトガバナンス、販売・管理体制の検証結果

    ②外貨建一時払保険の運用パフォーマンス分析及びターゲット型保険に関する販売・管理体制の検証結果

    ③外貨建一時払保険における顧客の属性に応じた販売・管理体制の検証結果

    -で構成されています。

    まぁ、米ドル建一時払終身保険等の外貨建一時払保険商品を、投資信託といった資産形成のための金融商品と同じ扱いにして、資産形成の手段とするのは無理がありますね。

    保険関係費用などの手数料がかさみ、流動性に劣る外貨建一時払い保険を、投資信託といった金融商品と比較すれば、どちらが資産形成の手段として適切なのかは一目瞭然でしょう。

    ターゲット型保険?そんな分かりにくい保険商品を契約させようとすること自体論外だと思っています。

    【モニタリング結果の概要】

    以下、モニタリング結果の概要です(上記報道発表資料より抜粋・転載)。

    〇プロダクトガバナンス態勢
    1.リスク・リターンの検証等

    【販売会社及び組成会社に求められる事項】
    ◇販売会社及び組成会社は、まず、適切な検証機関のもとでリスク・リターンの合理性などを十分に検証すべき

    【モニタリングで判明した課題】
    〇全ての重点モニタリング先で実施されていない。

    ・すべての重点モニタリング先で、リスク・リターン検証が行われていない。

    2.顧客の最善の利益追求に資する商品導入の判断、商品性の事後検証と見直し・廃止

    【販売会社及び組成会社に求められる事項】
    ◇販売会社及び組成会社は、リスク・リターンを十分に検証等したうえで、顧客の最善の利益に資する商品の導入を判断すべき。また、導入後も、販売実績等を基に商品性を事後検証し、必要性に応じて商品性を見直し・廃止すべき。

    【モニタリングで判明した課題】
    〇全ての重点モニタリング先で実施されていない。

    ・トータルリターンを把握しないまま、「積立利率」といった表面利回りの情報等に基づき、実質的な議論なく、導入を判断。

    〇販売・管理態勢
    1.顧客の属性に応じた販売

    【販売会社に求められる事項】
    ◇顧客の資産・収入状況、取引経験、知識、取引目的・ニーズおよび判断能力等の属性に応じて、当該顧客にふさわしい商品を販売・推奨すべき

    【モニタリングで判明した課題】

    ・多くの重点モニタリング先で、知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念がある顧客に販売。

    2.他のリスク性金融商品との比較説明

    【販売会社に求められる事項】
    ◇顧客が投資判断に必要となるリスク・リターン・コスト等について、「原則」等を踏まえ、他のリスク性金融商品と比較しながら説明・提案すべき。


    【モニタリングで判明した課題】
    〇全ての重点モニタリング先で適切に実施されていない。

    ・多くの重点モニタリング先で、比較説明しているものの、マネープランガイド等によるリターン・コスト等の大小比較や、保険商品間での重要情報シートの活用にとどまる。

    〇運用パフォーマンス分析及びターゲット型保険に関する販売・管理体制の検証結果

    【運用パフォーマンスの検証結果】

    ・金融庁が、代表的な外貨建一時払保険(運用型)8商品の運用パフォーマンスを分析したところ、2023年8月末時点での運用終了分(継続期間2.5年)の外貨建一時払保険は、継続期間5年以上の同保険(又は同種商品に投資する先進国債券の投資信託)と比べ劣後している。

     現状の販売・管理体制のもとでは、ターゲット型保険を中心に、外貨建一時払保険購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、同保険組成時の長期運用前提の想定より契約継続期間が短期化している。また、解約等に発生する費用が利幅を押し下げている状況※が窺われる。

    ※運用終了分のパフォーマンスを運用成果要素別で分析すると、積立増加効果は薄く利益のほとんどは円安で、解約等費用(市場価格調整と解約控除費)がその利幅を押下げ。

    【ターゲット型保険に関する販売・管理態勢の検証結果】
    ・全ての重点モニタリング先で、運用型商品のひとつであるターゲット型保険のほとんどが目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する事例が多数発生している。こうした乗換販売によって販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えない。販売会社は、目標到達前に顧客に対して無償で目標値の引き上げが可能である旨を伝達した上で顧客の意向を踏まえてアドバイス流するなど、顧客を適切にフォローすべきである。

    ・多くの重点モニタリング先で乗換販売の実態を把握していないほか、顧客本位の業務運営を確保する観点からの実効的な検証・監査ができていない。

    ・全ての重点モニタリング先で、保障・相続ニーズがある顧客にターゲット型保険を販売しているが、少なくとも、中途解約した顧客については、これらのニーズを満たせていないと考えられる。

    〇外貨建一時払保険における客属性に応じた販売・管理体制の検証結果

    【顧客層の検証結果】

    ・多くの重点モニタリング先で、「元本毀損するとは聞いていない」といった苦情が発生しているため、金融庁が、当該保険を販売した287名の顧客カードを分析したところ、全体では2割で知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念があった。苦情が発生した顧客(87名)に限れば、その割合は3割弱となる。

    【適切な動機付けの検証結果】
    ・全ての重点モニタリング先で、ターゲット型保険については、乗換販売といった顧客にとって経済合理性があるとは言えない事例が多く確認されている。

    ・ターゲット型保険にかかる役務を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の負担(商品説明・契約等)に比べ、2年目以降から満期までの合計負担(顧客へのフォローアップ等)の方が大きい状況が見受けられる。一方、販売会社から受け取る手数料体系を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の比重が重いL字型(例えば、初年度5.5%、2年目以降0.1%等)が採用されている。

    ・こうした役務に係る負担に見合った手数料体系となっていないことが、乗換販売に繋がっている一因と考えられる。外貨建一時払保険を含むリスク性金融商品の手数料体系が過度にフロービジネスを助長する販売姿勢に影響を及ぼしていないか、検証を継続していく。


    以上です。

    DSC01470.JPG
    ↑道端のオオイヌノフグリにやってきたホソヒラタアブ(3月撮影)。

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