特定疾病給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、令和4年7~9月の裁定概要集(PDF)に、特定疾病給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

事案の概要と、申立人の主張は以下の通りです。

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 膵管内乳頭粘液性腺がんにより入院し、膵頭十二指腸切除術を受けたため、平成5年6月に契約した特定疾病給付付終身保険に基づき、特定疾病給付金を請求したところ、約款上の悪性新生物に該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下等の理由により、特定疾病給付金を支払ってほしい。

(1)契約時、募集人から約款上の悪性新生物について、詳しい説明を受けていない。

(2)約款には、上皮内がんが給付対象外との記述はあるが、本疾患が上皮内がんであるとの明確な記述はない。

(3)主治医から、本疾病は上皮内がんと表現していないと説明されている。

(4)病理組織診断報告書には、著名な乳頭上構造を示し、増殖する腫瘍であると明記されているので、約款上の悪性新生物に該当する。

(5)他の保険会社では、悪性新生物と認められた。

…この事案は裁定終了となっています。

申立人が罹患した「膵管内乳頭粘液性腺がん」とは、膵臓の嚢胞性腫瘍と呼ばれる病気の一つである、「膵管内乳頭粘液性腫瘍」の腫瘍性細胞が、がん化したものです。

では、なぜ特定疾病給付金が支払われなかったのか?複数の医療機関の解説や、<保険会社の主張>から推測するに、

「申立人の腫瘍は、膵管内にとどまっている『非浸潤』の状態だった」ため、

悪性腫瘍細胞の存在およびその細胞の他の組織への無制限かつ浸潤破壊的増殖で特徴付けられる疾病(ただし、上皮内癌、および皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚癌を除く)

という、悪性新生物の定義に該当せず、支払事由非該当となったのでしょう。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(令和4年7~9月裁定概要集・P23~24より転載)。

[事案2021-231]特定疾病給付金支払請求
・令和4年9月2日 裁定終了

<事案の概要>
 約款上の支払事由に該当しないことを理由に、特定疾病給付金が支払われなかったことを不服として、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 膵管内乳頭粘液性腺がんにより入院し、膵頭十二指腸切除術を受けたため、平成5年6月に契約した特定疾病給付付終身保険に基づき、特定疾病給付金を請求したところ、約款上の悪性新生物に該当しないとして、支払われなかった。しかし、以下等の理由により、特定疾病給付金を支払ってほしい。

(1)契約時、募集人から約款上の悪性新生物について、詳しい説明を受けていない。

(2)約款には、上皮内がんが給付対象外との記述はあるが、本疾患が上皮内がんであるとの明確な記述はない。

(3)主治医から、本疾病は上皮内がんと表現していないと説明されている。

(4)病理組織診断報告書には、著名な乳頭上構造を示し、増殖する腫瘍であると明記されているので、約款上の悪性新生物に該当する。

(5)他の保険会社では、悪性新生物と認められた。

<保険会社の主張>
 以下等の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)医師の診断書は、上皮内がんと診断するものである。

(2)国際疾病分類腫瘍学における本疾病の形態コード番号は、上皮内がんに該当する。

(3)約款上の悪性新生物に該当するか否かは、国際疾病分類腫瘍学により客観的に定められており、担当医師による解釈で決まるものではない。

(4)他の保険会社の判断結果について、関知する立場にない。

<裁定の概要>
1.裁定手続
 裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、和解を相当とする事情の有無を確認するため、申立人に対して事情聴取を行った。また、医学的判断の参考とするため、独自に第三者の専門医の意見を求めた。

2.裁定結果
 上記手続の結果、本疾病が約款上の悪性新生物に該当するとは認められず、その他保険会社にして指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して、手続を終了した。


以上です。

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↑、交尾中のオオシオカラトンボ(昨年6月撮影)。

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