重大事由による契約解除を巡る裁定事案(入院一時金等)。
生命保険協会が取りまとめた令和4年7~9月の裁定概要集(PDF)に、重大事由による契約解除を巡る裁定事案がありました。
裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。
<事案の概要>
重大事由により契約を解除されたことを不服として、解除の取消しおよび入院一時金の支払い等を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
令和3年6月に急性胃炎により入院したため、令和2年8月に契約した医療保険にもとづき入院一時金等を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され給付金は支払わられず、また、過去に支払われた入院給付金を返還するよう求められた。しかし、以下の理由により、契約解除を取り消したうえで、入院一時金等を支払い、既払入院給付金の返還義務がないことを確認してほしい。
(1)給付金請求にあたって、担当者から電話で、「何社か加入しているが多分大丈夫なので請求してみては」と言われた。
(2)告知義務違反はしていない。
…この事案は裁定打ち切りとなっています。
同一被保険者で計8件の医療保険に加入…どうやって、一時選択(契約済みの他社契約有無)をクリアしたのでしょうか?担当者は申立人の加入状況を知っていたようですから、申し込みを断ることもできたと思います。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和4年7~9月裁定概要集・P30~31より転載)。
[事案2022-48]入院一時金支払等請求
・令和4年9月12日 裁定打ち切り
<事案の概要>
重大事由により契約を解除されたことを不服として、解除の取消しおよび入院一時金の支払い等を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
令和3年6月に急性胃炎により入院したため、令和2年8月に契約した医療保険にもとづき入院一時金等を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され給付金は支払わられず、また、過去に支払われた入院給付金を返還するよう求められた。しかし、以下の理由により、契約解除を取り消したうえで、入院一時金等を支払い、既払入院給付金の返還義務がないことを確認してほしい。
(1)給付金請求にあたって、担当者から電話で、「何社か加入しているが多分大丈夫なので請求してみては」と言われた。
(2)告知義務違反はしていない。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)申立人は、平成30年9月以降に集中的に複数社の医療保険に加入し、本契約の令和2年8月時点では合計8契約となり、入院一時金等の付保額は高額であった。
(2)申立人は、令和2年9月に熱中症を理由に2日間入院して給付金を受領し、隊員から180日後に急性胃炎を理由に2日間入院しているが、各入院の合理性は疑わしく、急性胃炎による入院の経緯や態様は不自然で、かつ、集中重複加入やそのほかの事情を考慮すると、給付金取得を目的とした加入であったと推認される。
(3)約款の「他の契約との重複により、給付金が苦闘の合計額が著しく過大であり、保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」に該当し、重大事由解除、給付金不支払、既払給付金の返還請求は妥当である。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会では、当事者から提出された書面にもとづく審理を行った。なお、申立人が希望しなかったため、事情聴取は行わなかった。
2.裁定結果
上記手続きの結果、以下の理由により、裁定手続を打ち切ることとした。
(1)保険会社の主張する他社を含めた付保額の合計額が真実であるならば、本契約は、約款に定める重大自由である「他の保険契約との重複により、被保険者にかかる給付金額等の合計額が著しく過大であり、保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」に該当し得ると思われ、契約解除等には一見して約款の適用の誤りがあるとはいえないが、保険会社が主張する事実を、提出証拠のみから認定することは困難である。
(2)約款の「保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」との要件は、保険法の解除事由である「契約の存続を困難とする程度の重大な信頼関係破壊行為」があったことを要し、「給付金額などの合計額が著しく過大」であるかは、年齢、性別、職業、社会的地位、治療費水準、社会通念等によって総合的に判断される。本件で、保険会社が主張する事実また事情の存否の判断および評価をするためには、8契約の加入状況(保険種類、保障内容、給付金額、件数等)・経緯・動機、保険料の合計、加入地の申立人の生活状況(収入、支出等)、財産状態(資産、負債等)、保険料負担能力、保険料支払状況、給付金支払履歴、支払われた給付金があればその妥当性、病状、入院の必要性等についての医学的知見などを総合的に勘案しなければならない。
(3)これらの事実または事情を明らかにするには、証拠調手続、当事者または第三者に対する文書提出命令または文書送付嘱託、医師などの第三者に対する尋問などの手続が必要となる可能性がある他、当審査会にはこれらの手続きがなく、公正かつ適正な判断を行うためには裁判所における訴訟による解決が適当である。
以上です。
↑昨年6月に撮影したコクワガタの喧嘩。
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裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下の通りです。
<事案の概要>
重大事由により契約を解除されたことを不服として、解除の取消しおよび入院一時金の支払い等を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
令和3年6月に急性胃炎により入院したため、令和2年8月に契約した医療保険にもとづき入院一時金等を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され給付金は支払わられず、また、過去に支払われた入院給付金を返還するよう求められた。しかし、以下の理由により、契約解除を取り消したうえで、入院一時金等を支払い、既払入院給付金の返還義務がないことを確認してほしい。
(1)給付金請求にあたって、担当者から電話で、「何社か加入しているが多分大丈夫なので請求してみては」と言われた。
(2)告知義務違反はしていない。
…この事案は裁定打ち切りとなっています。
同一被保険者で計8件の医療保険に加入…どうやって、一時選択(契約済みの他社契約有無)をクリアしたのでしょうか?担当者は申立人の加入状況を知っていたようですから、申し込みを断ることもできたと思います。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(令和4年7~9月裁定概要集・P30~31より転載)。
[事案2022-48]入院一時金支払等請求
・令和4年9月12日 裁定打ち切り
<事案の概要>
重大事由により契約を解除されたことを不服として、解除の取消しおよび入院一時金の支払い等を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
令和3年6月に急性胃炎により入院したため、令和2年8月に契約した医療保険にもとづき入院一時金等を請求したところ、約款上の重大事由に該当するとして、契約が解除され給付金は支払わられず、また、過去に支払われた入院給付金を返還するよう求められた。しかし、以下の理由により、契約解除を取り消したうえで、入院一時金等を支払い、既払入院給付金の返還義務がないことを確認してほしい。
(1)給付金請求にあたって、担当者から電話で、「何社か加入しているが多分大丈夫なので請求してみては」と言われた。
(2)告知義務違反はしていない。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)申立人は、平成30年9月以降に集中的に複数社の医療保険に加入し、本契約の令和2年8月時点では合計8契約となり、入院一時金等の付保額は高額であった。
(2)申立人は、令和2年9月に熱中症を理由に2日間入院して給付金を受領し、隊員から180日後に急性胃炎を理由に2日間入院しているが、各入院の合理性は疑わしく、急性胃炎による入院の経緯や態様は不自然で、かつ、集中重複加入やそのほかの事情を考慮すると、給付金取得を目的とした加入であったと推認される。
(3)約款の「他の契約との重複により、給付金が苦闘の合計額が著しく過大であり、保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」に該当し、重大事由解除、給付金不支払、既払給付金の返還請求は妥当である。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会では、当事者から提出された書面にもとづく審理を行った。なお、申立人が希望しなかったため、事情聴取は行わなかった。
2.裁定結果
上記手続きの結果、以下の理由により、裁定手続を打ち切ることとした。
(1)保険会社の主張する他社を含めた付保額の合計額が真実であるならば、本契約は、約款に定める重大自由である「他の保険契約との重複により、被保険者にかかる給付金額等の合計額が著しく過大であり、保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」に該当し得ると思われ、契約解除等には一見して約款の適用の誤りがあるとはいえないが、保険会社が主張する事実を、提出証拠のみから認定することは困難である。
(2)約款の「保険制度の目的に反する状態がもたらされる恐れがある場合」との要件は、保険法の解除事由である「契約の存続を困難とする程度の重大な信頼関係破壊行為」があったことを要し、「給付金額などの合計額が著しく過大」であるかは、年齢、性別、職業、社会的地位、治療費水準、社会通念等によって総合的に判断される。本件で、保険会社が主張する事実また事情の存否の判断および評価をするためには、8契約の加入状況(保険種類、保障内容、給付金額、件数等)・経緯・動機、保険料の合計、加入地の申立人の生活状況(収入、支出等)、財産状態(資産、負債等)、保険料負担能力、保険料支払状況、給付金支払履歴、支払われた給付金があればその妥当性、病状、入院の必要性等についての医学的知見などを総合的に勘案しなければならない。
(3)これらの事実または事情を明らかにするには、証拠調手続、当事者または第三者に対する文書提出命令または文書送付嘱託、医師などの第三者に対する尋問などの手続が必要となる可能性がある他、当審査会にはこれらの手続きがなく、公正かつ適正な判断を行うためには裁判所における訴訟による解決が適当である。
以上です。
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