外貨建て個人年金保険の契約を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成22年10~12月の苦情受付状況(ボイスリポートNo.21)に、外貨建て個人年金保険の契約を巡る裁定事案がありました。

リポートによりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 銀行員(募集人)の勧めで外貨建て個人(定額)年金保険に加入し、3年余経過時点で解約したところ、円で大幅に元本割れが生じたことを不服とし払込保険料の返還を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成18年11月、銀行員(募集人)から勧誘を受け、定期預金にすることは得策ではないということで、20万USドル(2360万余円)を支払い個人年金保険(米ドル建)に加入した。その後、平成20年秋にアメリカの金融危機が発生し、不安になり照会したところ、円では元本割れするのでドルで解約返戻金を受け取ることを提案され、21年3月に解約し解約返戻金21万6767.13ドルを受け取ったが、円では大幅に元本割れが生じた。

 さらに、今後円高ドル安が進行すると、ドル預金を持っていることがリスクになると、銀行から他の保険商品や豪ドルを勧められているが、当初のドル建ての個人年金保険の募集時に、下記のように、適切な説明をせず、誤解を招く表現を使用し、かつ長時間にわたる強引な勧誘があったのだから、解約返戻金21万6767.13ドルと引き換えに、加入時に支払った一時払保険料(2360万余円)を返還してほしい。

 (1)募集人は、本件契約が保険であると説明せず、米国の国債であると説明し、保険であることは申し込みの最後に説明した。

 (2)元本割れをするものや、為替変動をするものは嫌だと言ったのに、募集人は為替変動について適切な説明を行わず、かつ「金利は円でも変動しない」として、円での元本についてはあたかも心配ないような虚偽の説明を行った。また、特約という言葉を使い、リスクは一切ないと言い切った。

…この事案は既に裁定が終了しています。

今回の事案について管理人は、

裁定申立てにいたった背景には、銀行(募集サイド)の説明責任不足などではなく、申立人の「保険契約における自己責任の希薄さ」がある。

と思います。

外貨建ての保険商品は、変額保険や解約返戻金が市場金利・価格などにより変動する商品(MVA商品)と同様に、金融商品取引法の利用者保護ルールが準用されます。

そのため、死亡保障の保険などよりも慎重かつ十分に、適合性に関するヒアリングとフィードバックが求められます。したがって、申立人が為替リスクを伴う保険商品である、という認識を持たずに契約することは不可能ではないかと思われます。

どんなに営業パーソンが緊縛(金融)庁からの変態…ゴホゴホ、緊縛プレイ命令に基づいて使用を義務付けられた数々の募集資料・書類を駆使して説明しても、契約を結ぶ側の自己責任が希薄であってはトラブルはなくならないでしょう。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(ボイスリポートNo.21・P23~25より転載)。

[事案22-3] 契約無効確認・既払込保険料返還請求
・平成22年11月30日 裁定終了

<事案の概要>
 銀行員(募集人)の勧めで外貨建て個人(定額)年金保険に加入し、3年余経過時点で解約したところ、円で大幅に元本割れが生じたことを不服とし払込保険料の返還を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成18年11月、銀行員(募集人)から勧誘を受け、定期預金にすることは得策ではないということで、20万USドル(2360万余円)を支払い個人年金保険(米ドル建)に加入した。その後、平成20年秋にアメリカの金融危機が発生し、不安になり照会したところ、円では元本割れするのでドルで解約返戻金を受け取ることを提案され、21年3月に解約し解約返戻金21万6767.13ドルを受け取ったが、円では大幅に元本割れが生じた。

 さらに、今後円高ドル安が進行すると、ドル預金を持っていることがリスクになると、銀行から他の保険商品や豪ドルを勧められているが、当初のドル建ての個人年金保険の募集時に、下記のように、適切な説明をせず、誤解を招く表現を使用し、かつ長時間にわたる強引な勧誘があったのだから、解約返戻金21万6767.13ドルと引き換えに、加入時に支払った一時払保険料(2360万余円)を返還してほしい。

 (1)募集人は、本件契約が保険であると説明せず、米国の国債であると説明し、保険であることは申し込みの最後に説明した。

 (2)元本割れをするものや、為替変動をするものは嫌だと言ったのに、募集人は為替変動について適切な説明を行わず、かつ「金利は円でも変動しない」として、円での元本についてはあたかも心配ないような虚偽の説明を行った。また、特約という言葉を使い、リスクは一切ないと言い切った。

<保険会社の主張>
 当社は、申立契約の締結、募集に際し、募集人(銀行員)においては、下記のとおり、何らの違法行為もなかったと考えており、申立人の請求に応じることはできない。

 (1)申立人より、中長期的かつ安定的な運用を希望する旨の話があったため、募集人は募集銀行が取り扱っている生命保険商品を説明する際に使用する冊子を用いて、それぞれの商品概要を説明したところ、申立人より、米ドル建は高利回りで良いとの話があったことから、募集人は本件契約の商品内容の詳細を説明し、申立人も説明に頷きながら理解を示した上で、契約申込みをしている。

 (2)本件契約については米ドルで運用されるため、現状利回りは高いかわりに為替リスクがあることを説明している。

 (3)募集時に申立人より、「保険会社名は知っている。CMでやっている保険会社よね。そこの年金保険なのね」との発言があり、募集人は申立人に対して、本件契約が当社の保険商品であることを説明している。

 (4)申立契約の留意事項に関する書面において、「本件契約が生命保険商品であり、預金・投資信託・金融債ではないこと」「元本の保証がないこと」「為替変動リスクがあること」などが、分かりやすく明記されており、申立人はこれに署名捺印をしている。

<裁定の概要>
 申立人の主張の法律的な根拠は不明だか、裁定審査会では、主に「元本割れのリスク」の説明義務違反による損害賠償請求(金融商品販売法5条)であると解釈し、申立書、答弁書等の書面の内容および申立人および募集人からの事情聴取の内容にもとづき審理した。

 審理した結果、下記のとおり、募集人が説明義務を怠ったとする申立人の主張を裏付ける証拠は、申立人の供述のみであり、他に客観的な証拠やこれを推測させる行動の事実などがなく、申立人の主張を認めることはできないことから、生命保険相談所規程第44条にもとづき、裁定書をもってその理由を明らかにして、裁定手続きを終了した。

 (1)保険契約であることの認識について
 申立人より提出されたパンフレットには、「個人年金保険」との記載、引受保険会社として相手方会社の記載があり、他の書類にも「積立利率変動型個人年金保険」「生命保険商品です」と記載されており、保険契約であることは十分に認識できたはずであり、申立人も、申込書記載の段階では保険契約であることが分かったと認めていることから、説明義務違反を認定することはできない。

 (2)為替変動のリスクにより元本欠損のおそれがあることの説明の有無について
 ①パンフレットには、米ドル建てでの支払保険料の記載と、米ドル建てでの年金支払金額の記載があり、全てドル建てで表示されていることから、本件商品が全てドル建てでなされることは明らかである。

 ②ドルの金額が一定でも日本円での評価としては変動することは知られているので、「円での保証」があることは、更に特別の約束がなされなければならないが、当該パンフレットにはこのような記載はない。仮に、募集人が保証されていると言ったとしても、その保証の旨がどこに記載されているのかということを確認するのが通常である。この確認がなされたときに、募集人が虚偽の事実を言っていたとすれば、すぐに虚偽であることが明らかとなってしまい、通常、このようにすぐに分かる嘘の事実を告げるものとは考えられない。

 ③また、ご留意事項には、「運用状況や為替相場等により保険金額・満期受取金・年金受取総額および解約返戻金の額等がお支払いいただいた保険料を下回る場合があります。」との記載があり、申立人は当該文書に了承した旨の署名、捺印をしている。これらの客観的な証拠では、申立人がかかる説明を了解していたものと推定されることになる。

 (3)長時間の強引な勧誘について
 ①強引な募集であれば、あるいは意思に反して申込みをすることもあるが、その場合にはそのような状態を脱した後に、法律上可能か否かは別として、契約の取消しを銀行に申し入れるなどの行動をとるのが普通だが、このような行動をした形跡はない。

 ②強引な勧誘を受ければ契約内容に不安を持ち、パンフレットで確認して、募集人の話した内容が虚偽であることは明らかとなるので、銀行に連絡するのが普通だが、これもない。強引な勧誘に困惑していた場合には、その募集人の言葉の内容を疑うのが通常であり、その言葉を信じたという主張には疑問がある。


以上です。

画像
↑花を咲かせている紅梅を撮影しようとしていたところに、ふと現れた猫を撮影しました。どうやら飼い猫のようで2~3メートル先まで近寄っても逃げませんでした(撮影機材:ソニーα55。使用レンズ:DT18-55mmF3.5-5.6SAM。撮影設定:絞り優先(Aモード)。絞り:F8。露出補正:+0.3。クリエイティブスタイル:Vivid。ホワイトバランス:太陽光)。

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この記事へのコメント

2011年03月06日 02:15
まいどでございます。

これを書く前に人気ブログランキングをクリックしたところ第3位でした。

マネポケ金融投資ブログランキング!は24位でした。

ほぼ毎日クリックしております。先の人気ブログランキングは携帯からもOKであることを最近知りました。皆激戦区と思います。頑張ってください。

■記事中の外貨建て個人年金保険等等、外貨何とかというものは玄人向けです。個人年金に関わらず外貨預金も気をつけなければいけません。外貨に関するものは元本割れのリスクがかなりあります。最後はお客様のご判断でと書面に書かれているはずです。細部まで熟読しなければいけません。

これも相場の世界ですからなかなか甘くはないと思います。

たいがい皆様は最初の頃は失敗しているとも聞いております。解らないことには多くの資金を出さず、様子見をしてからでも遅くありません。しかしながら今がチャンスだと言われれば、そうかなと思いつつ失敗するのです。

さてこれで宣伝になっているのやらいないのやらではありますが公開はお任せ致します。

いつもありがとうございます。
現役保険営業マン
2011年03月06日 15:27
阿南龍子さん、こんにちは。
一番コメント&応援ありがとうございます

はい、おかげさまで上位にランキングされております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

おっしゃるとおりです。外貨建ての保険商品は投資経験があり、為替リスクによる「元本割れ」が生じても受け入れられるだけの余裕がある人向けのものです。

「結果=利益発生」とした考えられない人などは手を出してはいけないものであると思っています。

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